“昔ながら”は偉大!
リメイク版
前段まで前置きが長くなりました、娘(妻)の“昔ながらの酒まんじゅう”造りスタートです。
毎日曜日は6時半に二人は自宅を出発し、山梨県秋山(上野原市)の師匠の元へ、
8時過ぎに到着すると、朝早くから作業を始めていて、蒸かし上がるタイミングです。
ラップで包み終わると、発泡スチロールの箱に詰め、義母と妻は都留の“道の駅”へ、
私(婿)は、ゴルフ場と都留市内の小売店さん(鮮魚店、八百屋.etc)へ出発です。
“道の駅”で二人と合流し、昼食を取ると秋山へ戻り、ここからが「酒まんじゅう」道場の開始です。
まずは、「生地造り」から、
地粉(中力粉)と酒種を師匠(母)の言う通りの分量と割合で混ぜ、そして母の捏ね方を見よう見まねで捏ねてみます。
分量と割合など、大体の目安はあるものの、その日の温度や湿度によって微妙に違い、その先は手と指の感覚で覚えるものだそうです。
続いて、「成形」
母のやるのを見ながら、“ここを、こうして・・・・・こんな感じで、・・・・・包むように!”そして“やってみな!”
まさしく、口伝!
“以心伝心”母娘ならではのコミュニケーション。
側(はた)で内心“伝わってるのか!?”と疑問に思う私(婿)でした。
成形が終わると次は、「発酵」
時間は大体の目安で、途中膨らみ方を見て、
“こんな感じ!”という表情、色合いの違いをしっかりと覚える。
この後、「蒸かし」の工程に移り、細かいこと言えば、幾つもチェックポイントはあるとは思うのですが、例の“以心伝心”で卒なくこなす娘です。
別工程で「あんこ造り」ですが、
“茹でこぼし3~4回”“手間を惜しむな、手を抜くな!”を忠実に守り無難にこなす娘でした。
本来、酒まんじゅうの肝である「酒種」は当初は母が用意していたものを使っており、その後徐々にアレンジしてゆくのですが、ここでは省きます。
(「酒種造り」だけを、別の機会にアップしたいと思います)
ここまで、母と一緒に造り、母と一緒に“道の駅”で販売してきて、見よう見まねで母の一連の作業に着いていける様になってきました。
時には、母がお得意さんの所へ行かねばならなくなると、ポイントだけ指示して出かけることもありました。
また、朝から一緒に造って、母が“道の駅”に販売に出た後、娘(妻)が残って、次の準備に取り掛かるといった様にかなりの部分を母から任される程になってきたのでした。
その頃、妻の高校時代の友達Tさんの口添えで、日野市内の大手電機メーカーF社で社販(社内の売店(前)での催事販売)のルートが開けました。
そこで、妻は奇策に打って出ます。
1.日野市近辺で自分達が売る物に関しては、全てを自分達で造る(酒種も!)
2.自分達で売る「酒まんじゅう」は、販売元を『ぽっとまむ』とする
3.『ぽっとまむ』の「酒まんじゅう」のサイズを一と廻り小さくする
4.『ぽっとまむ』の「酒まんじゅう」に関しては『還元水(アルカリ電解水)』を使用する
幾つかの過程を経て、また幾つかの壁を乗り越えて、3年が経ちました。
『ぽっとまむ』の“昔ながらの酒まんじゅう”の販売は、F社から始まった“社販”は同じ日野市内のH社でもやらせて頂く様になりました。
また、日野市内や相模原市内のスーパーでの催事販売も定期的に行える様に拡がってまいりました。
ここまで来れたのも、母が“昔ながらの酒まんじゅう”をこのまま自分の代で終わらせたくないという想いを、
そして、出来れば実の娘に継いで貰いたいとの想いが強くあったればこそだろうと思います。
そこに、娘(妻)の“私がお母さんの酒まんじゅうを引き継ぎたい!”との想いに加えて、妻の器用さと要領の良さ(いい意味で!)もあったことは否めません。
それでも、側で客観的に観ていた者として言わせて貰えば、義母の「造り方」とそれを引き継いだ妻の「造り方」が「昔ながらの造り方」を踏襲したからこそ、「昔ながらの味」に繋がったのだと考えます。
両名には悪いですが、“昔ながらの酒まんじゅう”に秘伝も、隠されたワザも存在しません。
ただそこにあるのは、愚直なまでに“手を抜くことなく”“手間を惜しまず”、
そして母や祖母が子や孫達に、美味しい酒まんじゅうを食べさせたい想いの結果だと思います。
言い替えると、「昔ながら」をたどった結果、『ぽっとまむ』の“昔ながらの酒まんじゅう”が造り出せた訳です。
これこそ、伝統・文化の継承だと思います。
有り体に言ってしまえば、“昔ながらの造り方”を守れば、誰にでも“美味しい酒まんじゅう”は造れるハズです。
これこそが、私が「“昔ながら”は偉大だ!」という由縁です。
あっ、
誤解のない様に付け加えておきますが『ぽっとまむ』は販売元でして、
我々家族が、山梨県秋山(上野原市)に行って酒まんじゅうを造っていますが、
製造元の義母の工場(作業場)で、菓子製造認可を持つ義母の管理・監督の元で造っていますので、この場合の我々家族は一作業員です。
念のため!