あなたのためのヘルスセミナー Vol.10

健康を創る食生活とは?

児玉陽子の正しい「食養」のすすめ

第10回 食養内科で実践した「東」と「西」の統合医療

児玉陽子 (食生活アドバイザー)

株式会社エナジックインターナショナル 広報誌 『E-FRENDS』より転載

児玉陽子 略歴:

1936年3月、台湾・台北市生まれ。 55年に皮膚病、59年に結核を発症。東邦大学病院の日野厚博士の指導により「日野式食養」を実践し快癒。 以来、食養研究を始め、69年から公益財団法人・河野臨牀医学研究所(東京都品川区)で食養指導を開始。 78年には日野博士と共に日本初の「食養内科」を松井病院(東京都大田区)に設けて食養指導を実施。95年、同病院顧問に。 現在はフリーランスの立場で、食生活についての指導・啓蒙活動をおこなっている。 主著に『臨床栄養と食事改善指導』『アレルギーにならないための離乳食』(いずれも緑書房)など。

松井病院食養内科の部長だった日野厚医学博士は89年7月8日、不帰の人となりました。それまでの間、わたしは食養内科の課長として患者の食事療法をおこなっていました。日野の死去後も食養内科の顧問の立場で同様の活動を続けました。

当時の食事療法は、後に日野式といわれた原則に従っておこなわれました。それをまず示してみましょう。

①合成添加物のない食品を摂る。②残留性のある農薬を用いずに生産した食品を選ぶ。③合成洗剤を使わない。④穀物や砂糖などは精製度の高いものを用いない。⑤野菜はとくに緑黄色野菜を多く摂る。⑥海草を摂る。⑦地産地消に努める。⑧野菜は根も葉も捨てない。⑨魚は皮も骨も内臓も食べる。 ⑩アクの強い食品以外は、煮こぼし、茹でこぼしをしない。⑪塩分・糖分を控える。⑫合成調味料を控える。⑬過熱・過冷食品や強い香辛料・刺激物を避ける。⑭清涼飲料水・缶詰・インスタント食品は控える。⑮過分な 間食をしない。⑯よく咀嚼し腹八分を旨とする。

もちろんこれはあくまで原則です。食養内科では、この原則に従いながら、患者一人ひとりの症状に合わせた食事療法をおこないました。数多くの症例から、印象に残っている事例を紹介してみましょう。

■初診に最長5時間かける!

たとえば原因不明の慢性疾患で、自己免疫疾患の一つとされるベーチェット病の女性患者(当時59歳)の場合、ある大学病院で薬物治療を続けていましたが、右手指の化膿、顔等の湿疹、そして口内炎などがおさまらず、食養内科を受診しました。

この時には病院で出す食養基本食以外に青汁と人参汁を与え、カイロプラクティック施療も併用しました。

その結果、3週間で化膿がおさまり、1ケ月後に口内炎が消失。湿疹もなくなって2ケ月半で退院しました。このように患者によっては、食養基本食以外にも、いろいろな食品や療法を用いることが食養内科の特徴でした。具体的には伝統医療である漢方・鍼灸・気功・ヨガを始め、カイロプラクティック、各種手技療法等を大胆に取り入れました。心理療法をおこなった例もあります。

これこそ「東洋医学」と「西洋医学」の総合という、日野が思い描いていた医療の実践にほかなりませんでした。

そのためには、個別患者に何がどうフィットするのかを、しっかり確認する必要があります。必然的に診断が長時間かかることになります。とくに時間をかけていたのが初診時の問診で、短くて3時間、長ければ5時間もかけた例さえあります。

大学病院などの総合病院でしばしば問題になる、「3時間待って診察3分」とは、全くほど遠い診察状況でした。しかしわたしは、このような診察・診断こそ、あるべき医療ではないかと思い、いよいよ真剣に取り組んでいきました。

Global E-Friends 2019.11

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