健康を創る食生活とは?
児玉陽子の正しい「食養」のすすめ
第12回 日本人最多の「大腸ガン」と闘う食事
児玉陽子 (食生活アドバイザー)
株式会社エナジックインターナショナル 広報誌 『E-FRENDS』より転載
児玉陽子 略歴:
1936年3月、台湾・台北市生まれ。 55年に皮膚病、59年に結核を発症。東邦大学病院の日野厚博士の指導により「日野式食養」を実践し快癒。 以来、食養研究を始め、69年から公益財団法人・河野臨牀医学研究所(東京都品川区)で食養指導を開始。 78年には日野博士と共に日本初の「食養内科」を松井病院(東京都大田区)に設けて食養指導を実施。95年、同病院顧問に。 現在はフリーランスの立場で、食生活についての指導・啓蒙活動をおこなっている。 主著に『臨床栄養と食事改善指導』『アレルギーにならないための離乳食』(いずれも緑書房)など。
国立がん研究センターが発表した「2019年予測」によると、男性が57万2,600人、女性は44万4,600人がガンに罹患すると予測しています。
部位別にみると、大腸ガン(15万5,400人)が1位を占めました(男性は1位で女性は乳ガンに次ぐ2位)。大腸ガンは2位の胃ガンを3万人以上も上回っています。2015年予測以来、大腸ガンはずっと1位です。ではなぜこのように増えてしまったのでしょうか。
最も大きな原因として考えられるのは、わたしたち日本人の生活環境、とくに食事の変化の影響です。1970年代後半とずい分前ですが、ハワイやアメリカ本土に移住した日本人は胃ガンが減り、大腸ガンが白人並みに増えた、という興味深い研究結果が発表されたことがあります。
この調査からわかるのは、ガンの発生には人種的・遺伝的な要因より、食事など環境要因が大きくかかわっていることです。また、2007年に世界ガン研究基金(WRCF)とアメリカがん研究協会(AICR) が出した報告によると、赤肉・加工肉、肥満、アルコールが大腸ガンのリスク要因になるとしています。
■59歳女性患者の食養実践
戦後、わたしたちの食生活は欧米化し、肉類や牛乳などの乳製品等から高脂肪分を多く摂るようになりました。逆に繊維質の多い野菜や果物の摂取が減りました。これはそのまま大腸ガンの原因になるものです(加えて、アルコールや喫煙も重大な要因と考えられています)。したがって、予防のためにも、また罹患してからも、食生活の改善――ひと言でいって和食の復活――が大切な要素になります。
では具体的にはどうしたら良いのか。松井病院食養内科で、わたしが食事指導をした女性大腸ガン患者の例を引いて、考えてみましょう。
患者は59歳の女性。大腸の中の結腸にできたガンを手術で切除。手術以前には、お米よりパンとケーキが大好きで、また豚肉を好んで食べていました。術後、わたしは食生活の改善のため、次のような指導をおこないました。
パンを玄米に、豚肉を魚に変えて、地産地消が可能な季節の根菜類等の野菜を中心にし、とくに毎日、小松菜を100gほどお浸しにして食べてもらうようにしました。また、キノコ類や海藻も毎日必ず食卓に乗せるよう指導。さらに、料理には砂糖を使わず、味付けを薄くして主に酢で味付けをするようにしてもらいました。
避けてもらったのは、獣肉類、パンとケーキ類、天ぷら、刺身等。漬物も植物性で繊維の多い大根、白菜、青菜などを中心に。果物はリンゴをメインにしました。食事以外にも、便秘にならないようにする、夜更かしを避ける、適度な運動をする、ストレスをためない、といったアドバイスもしました。これらを受け入れて、きちんと実践した彼女は、ガンが再発することもなく過ごしています。胃腸症状に良い還元水も飲用していたら、もっと早く効果が出ていたかもしれません。
Global E-Friends 2020.1
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