健康を創る食生活とは?
児玉陽子の正しい「食養」のすすめ
第17回 この食事療法で高血圧に挑む!
児玉陽子 (食生活アドバイザー)
株式会社エナジックインターナショナル 広報誌 『E-FRENDS』より転載
児玉陽子 略歴:
1936年3月、台湾・台北市生まれ。 55年に皮膚病、59年に結核を発症。東邦大学病院の日野厚博士の指導により「日野式食養」を実践し快癒。 以来、食養研究を始め、69年から公益財団法人・河野臨牀医学研究所(東京都品川区)で食養指導を開始。 78年には日野博士と共に日本初の「食養内科」を松井病院(東京都大田区)に設けて食養指導を実施。95年、同病院顧問に。 現在はフリーランスの立場で、食生活についての指導・啓蒙活動をおこなっている。 主著に『臨床栄養と食事改善指導』『アレルギーにならないための離乳食』(いずれも緑書房)など。
日本にはいったいどのくらい高血圧患者がいるのでしょうか。厚生労働省が1980年から10年おきに実施している大規模調査「NIPPON DATA」の2010年版では、男女合わせて何と4,300万人が高血圧症としています。成人のほぼ2人に1人という高率です。
症状がない人も含め、高血圧状態にある人が驚くほど多く存在していることは間違いありません。放置しておくと、動脈硬化を引き起こすなど、重篤な状態に陥る可能性が高くなりますから、的確な対処が必須なのです。
そもそも高血圧はなぜ生じるのでしょう。最も多いのが「本態性高血圧」と呼ばれ、遺伝的に(親から)高血圧を受け継ぐパターンです。さらに食塩の摂りすぎなど、誤った食事が誘因になることもしばしばです。
したがって親が高血圧で、かつ塩分の多い食事を摂っているとすれば、ほぼ間違いなく高血圧になるといっても過言ではありません。
高血圧の症状としては、動脈硬化から来る頭痛、耳鳴り、肩こり、めまい、手足のしびれ等があります。また、物忘れや不眠症などの症状も見られます。高血圧状態が長期化すると、血液を送り出す心臓が肥大し、動悸・息切れなどを引き起こすこともあります。
さらに悪化すると、心臓ぜんそくや狭心症、心筋梗塞など、「死に至る」症状さえもたらすことがあります。さして症状がないからといって高血圧を放置しておくと、手痛いしっぺ返しに合うことになりかねないのです。
■ある肥満男性の奮戦記
松井病院・食養内科では多くの高血圧患者さんの食事指導をおこないました。たとえば身長167cmで体重79kgの肥満の男性 (54歳)。
来院する4年前に高血圧性心不全と動脈硬化と診断され、薬物療法を受けていました。しかしその後も、動悸や吐き気に襲われたり、疲れやすく風邪もひきやすかったり、といった症状に悩まされていたそうです。
検査の結果、軽度の心臓肥大や高コレステロールなどが認められました。また、 普段の食事内容を聞くと、肉類などの脂っこいものを好み、野菜や果物、海草は敬遠し、お酒が大好物で毎日2~3合は飲んでいたと言います。
入院と同時に、食塩を1日6gまでに制限する高血圧食を提供し、青汁を毎日200ml飲んでもらいました。すると4日後には血圧が最大110mmHg、最小84mmHgまで下がり、頭痛や肩こりが薄らいできました。
そこで10日後から2日間の減食に入り、続いて1週間の絶食療法を施しました。終了後は最大血圧104mmHg、最小血圧80mmHgとなり、諸症状も消失して退院の運びとなったのです。その後も、十分に養生し、血圧降下剤とは無縁の生活をしていると聞いています。
以下に、高血圧症患者向けの食養をまとめておきました。酸味をうまく使って塩分を抑制し、野菜を多く摂ることで空腹感を抑え過食を慎み、タンパク質は白身魚や植物性食品から摂る、といった食事内容が勧められます。主食も玄米等の未精白米や雑穀が望ましく、海草やシイタケなどもお勧めです。
Global E-Friends 2020.6
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