あなたのためのヘルスセミナー Vol.20

 健康を創る食生活とは?

児玉陽子の正しい「食養」のすすめ

第20回 慢性胃炎を克服するための食生活とは

児玉陽子 (食生活アドバイザー)

株式会社エナジックインターナショナル 広報誌 『E-FRENDS』より転載

児玉陽子 略歴:

1936年3月、台湾・台北市生まれ。 55年に皮膚病、59年に結核を発症。東邦大学病院の日野厚博士の指導により「日野式食養」を実践し快癒。 以来、食養研究を始め、69年から公益財団法人・河野臨牀医学研究所(東京都品川区)で食養指導を開始。 78年には日野博士と共に日本初の「食養内科」を松井病院(東京都大田区)に設けて食養指導を実施。95年、同病院顧問に。 現在はフリーランスの立場で、食生活についての指導・啓蒙活動をおこなっている。 主著に『臨床栄養と食事改善指導』『アレルギーにならないための離乳食』(いずれも緑書房)など。

今回は胃の病気の中で最も多い「胃炎」を取り上げてみます。胃の粘膜に炎症が起きた状態が胃炎で、急性と慢性があります。急性は、食べすぎや飲みすぎ、ストレス、タバコの吸いすぎなどの生活習慣が主な要因です。症状は胃痛、吐き気、下痢などで、ひどくなると嘔吐や吐血、下血を伴う場合があります。

なお、ストレスが引き起こすケースを「神経性胃炎」とする場合があります。

慢性の場合、原因の約8割が胃の中に生息するピロリ菌と呼ばれる細菌の働きで、その他、薬の副作用によっても引き起こされる場合があります。

ピロリ菌は胃中の強力な酸の中で生きている菌で、胃酸から身を守るため常に出し続けているアンモニアが、胃の粘膜を傷つけ、慢性胃炎を生じさせると考えられています。

慢性胃炎の場合、胃の中の酸が高くなっている過酸性と低くなっている低酸性があり、前者では胸やけ、げっぷ、胃部の鈍痛などが主な症状です。後者は、脱力感、衰弱、疲労を訴えることが多く、下痢気味にもなります。

急性胃炎は一般に治りやすい病気で、数日あれば軽快することが多いのですが、慢性胃炎は治りにくく、対策が難しくなってきます。したがってここでは、慢性のケースを中心に、治療のため重要なカギを握る食生活の改善、つまり食養について述べてみることにします。

■絶対避けたい食品類

前述のように、慢性胃炎の場合、過酸性と低酸性があり、食養も分けて考える必要があるかもしれません。しかし、わたしが師事した日野厚医博の「日野式食養法」ではさほどの区別はしていません。というのも、胃だけを問題にするのではなく、身体全体の健康度の向上を第一に考えるためです。

慢性胃炎の人の食生活で何より大切なのは、胃を刺激し負担をかける食品を避けることです。熱すぎ、冷たすぎる食品、強い酸味や塩辛いもの、そして香辛料の効いたものなどは避けます。また、アルコール飲料と炭酸飲料のような嗜好飲料はご法度です。

食品では、脂っこいものは、胃に留まっている時間が長いので避けるようにします。具体的には、肉の脂身、ラードを用いた揚げ物、炒め物は好ましくありません。

魚は白身を選びましょう。必須脂肪酸を豊富に含む植物油やゴマは摂りたい食品ですね。タンパク質を摂るには大豆製品がお奨めです。

何より肝心なのは、よく噛んで食べることです。加えて、胃腸症状の改善が期待できる還元水の飲用もいいかもしれません。

わたしが勤務していたころの松井病院「食養内科」では、食生活の指導だけでなく、日野博士の指示で慢性の患者にも「絶食療法」を実施することがありました。最後にこの療法を紹介してみます。

絶食療法では、胃の組織の再生や身体全体の健康度の向上が期待されます。というのも、絶食を機に、その後の食養が順調にいけば、当然、身体全体によい効果があるからです。

ただし、絶食後に体調がよくなると、食欲が高まって過食に至り、体調が悪化して絶食前より症状が悪くなる恐れがあります。患者はこの点をよく理解し、強い意 志を持つ必要があるのです。

Global E-Friends 2020.9

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