沖縄やんばる産ウコン
ウッチンパワーでガンジュー・チョーミー(健康長命)
沖縄の気候風土が育む
パワフル・ウコンを徹底解剖

一説によると、健康食品(サプリメント)の約4割が、何らかの形でウコンに関連しているといわれています。人気抜群のウコンですが、日本で流通しているウコンのほとんどは外国産です。
しかし、わたしたちはもっと足元を見直してみましょう。そう、亜熱帯の沖縄こそウコンが自生し、古来さまざまな民間療法に取り入れられてきた地域なのです。
先人の知恵を脈々と受け継いだウチナンチュ(沖縄の人びと)は、生活の中でウコンを活用しつづけてきました。世界的に知られる沖縄の「ガンジュー(健康で)チョーミ(長命)」の理由の1つに、ウコンをあげていいのかもしれません。
このウコンを最も多く栽培しているのが、北部1帯を指し、ヤンバルクイナやノグチゲラ といった希少動物の生息地として知られるやんばる地域です。

ウコンの特長と効果効能を科学的に検証する実験・研究も数多く積み上げられてき ました。その成果は、「伝承」を「事実」に変え、信頼感をいっそう高めることでしょう。
ウコンを科学する
ここまでわかったウコンの効果!
この十数年ほどの間に、ウコンに関する医学的・科学的研究は飛躍的に進み、「科学の目」を通したウコンの効用が立証されつつあります。ここでは、そのホンの一端を紹介してみましょう。
【(亜)熱帯の食材が「効く」理由】
福井県立大学の大東肇(おおひがしはじめ)教授は、長年にわたる研究の結果、(亜)熱帯地域の食材が発 がん抑制作用に有望であるとの結論に達し ました。たとえば、『日本補完代替医療学会誌』(第5巻第1号/08年2月発行)に寄せた論文で、次のように指摘しています。
「アジア産の野菜や果物500種以上について総合的なスクリーニングを行ってきた」結果、発がん過程の抑制を活性させる種類に、 「ショウガ科、ミカン科、シソ科、セリ科、アブラナ科など、どちらかと言えば調味、薬味、香辛用など非栄養的に摂取される植物科」があげられるとしています。
そして、「がん予防に期待される代表的植 物性食素材」という一覧表のショウガ科の項目にターメリック(ウコン)を載せています。また、「がん予防が期待される主要な植物性 成分」という表には、クルクミノイド(ウコンに 含まれるクルクミン)成分を掲載しています。
【クルクミンの「予防効果」】
ウコンの効能について、より具体的に言及しているのが、大澤俊彦・名古屋大学教授です。大澤教授は、「日本農芸化学会誌』(02年9月号)に、5つの論文を踏まえながら書いています。ちょっと難しいのですが、該当部分を引用してみましょう。
「経口で摂取されたクルクミンは、腸管の上皮細胞で吸収されるさいに細胞中に存在する還元酵素により、クルクミンがテトラヒドロクルクミンに還元され、この代謝によって生成したテトラヒドロクルクミンこそが抗酸化性の本体であり、大腸がんや乳がん、腎臓 がんに対して抑制効果を示すと共に糖尿病 性合併症の予防にも重要な役割を果たすことを明らかにした」
要するに、ウコンに含まれるクルクミンを 「口から」摂取すると、腸内でテトラヒドロクルクミンに変化し、それががんと糖尿病の抑制効果をもたらす、というのです。
《ウコン ― 民間療法の世界》

ウコンは、伝統的な「漢方」「生薬」 「薬草」の世界で、どう活用されてきたのでしょうか。各種文献を見ると、薬効を認められる部分は「根茎」(根っこと茎)で共通しています。それを掘り出して水洗いし、さらに湯通ししてから陰 干しにすると、生薬、になります。これを服用したり、患部につけたりしてきたわけです。
定評ある『日本薬草全書』(新日本法規出版)や『生薬学』(廣川書店)によると、ウコンは、健胃や肝臓病、胆のう炎・ 胆石などの「利胆」のほか、止血や通経薬にも用いられ、胆汁の排泄促進や免疫賦活作用があるとしています。
「図解・薬草の実用事典』(家の光協 会)によれば、陰干ししたウコンは「肩こり、腰痛、疲労回復など) の浴湯料」 (ウコン湯ですね)として活用されてきました。ずいぶん広い範囲で使われてきたものです。
【善玉コレステロールも増加?】
つぎに取り上げるのは、国立健康・栄養研 究所の『健康・栄養ニュース』(第4巻第4号 /06年3月15日発行)に掲載された永田純一 研究員の実験結果です。
人のウコン摂取目安量に含まれるクルクミンを、ラットの体重に換算した量(1倍)から 100倍までを投与し、成長具合、肝機能指標、脂質代謝におよぼす影響を見ました。
その結果、クルクミンの摂取により、ラットはいわゆる善玉(HDL)コレステロール値を高め、摂取量が増えるに従い、血中の中性脂肪濃度が低下したというのです(下図を参照)。 一方、100倍にもおよぶ過剰摂取をしても、 成長具合や肝機能の指標に影響はなかったとしています。
報告では、ウコンにはクルクミン以外にさまざまな成分を含んでいるため、ウコンだけで脂質改善をもたらしたと判断はできないとしています。過剰な期待は禁物ですが、可能性をうかがわせる実験結果といえるでしょう。


クルクミンの摂取によりラットの総コレステロール値(左の棒グラフ)にほぼ変化はないが、
HDL(善玉)コレステロール値(中央)は増え、右のトリグリセルド(中性脂肪)値は減少している。
※独立行政法人 国立健康・栄養研究所「健康・栄養ニュース』 06年3月15日発行 第15号 5ページの図より
メディアクリップ
ウコンから記憶力活性物質 『読売新聞』2008年8月19日号
「アルツハイマー予防に期待」との見出しもつけたこの記事では、武蔵野大学と米ソーク研究所の共同 実験を紹介し、ウコンの成分クルクミンから作った化合物を飲んだラットのほうが、飲まないラットより記憶力が高まったとしています。「新薬の開 発を目指したい」との関係者のコメントも載せ、脳疾患予防への期待感を表わしています。
ウコンが寿命を1割延ばす 『毎日新聞』2002年5月14日号
この記事で紹 介されているの は、国立中部病院などの研究 チームによる興味深い研究結果です。それは、生後13カ 月(人間なら約30歳)のマウスに1日あたり0.008グラム の(クルクミンが腸内で変化する)テトラヒドロクルクミンを与え続けたところ、寿命が平均84.6日で、与えなかったマ ウスより約11%も延びたというのです。単純に人間に置 き換えることはできませんが、なんとも“夢のある”実験です。